オタク系クラブイベントの現状

オタク音楽とクラブ音楽の融合

近年、大阪のクラブカルチャーに大きな動きがありました。新しいジャンルの音楽パーティーが人気になってきて、東京にまで広まっているのです。

それはアニソンやゲーム音楽などの「オタク音楽」と、ダンスホールでかけるようなクラブ音楽を融合させた、新しいタイプの音楽イベント。「ハードコア」といわれるパンク・ロックから派生した激しいリズムの音楽から流行が始まり、現在ではテクノ・トランス・ハウスなど様々なジャンルでリミックスされています。
客層は「がっつりヲタ」からサブカル好きの一般層までと幅広く、ヲタ的知識が無くても純粋に音楽が楽しめる内容になっています。

3月18日の夕刊フジblogにこのような記事があった。イベントの具体的な例はなく、詳しくは分かりにくい内容である。実際は大阪でから広まったのではなく東京から広まったのではないか?など疑問が多くある。そこで、僕が知る限りのイベントの具体的な例をあげてオタク系クラブイベントの現状を書いてみようと思う。
 
まず「オタク音楽」とは何か? 簡単に言うとアニメソング、電波ソングエロゲーソング)、ゲームミュージックとそれをネタにして作られる楽曲であると考えてもらえれば良い。
「M3」や「コミックマーケット」の同人即売会はオタク系音楽を発売する場所にはなるが、そこに出ている音楽を一括りにはオタク系音楽とは呼べないだろう。
 
現在の「オタク系クラブイベント」には4つの大きな流れがあると考える。
 
まず1つ目は単にDJとしてアニメソングやゲームミュージックを流すイベントである。具体的な例として川崎クラブチッタで行われている「オタククロニクル」やdress tokyoで行われている「SS|EX」 がある。オタククロニクルは 「20歳過ぎの大人のための、アニソンクラブイベト」SSEXは「レトロゲーからアニメソング、果ては電波ソングまでが入り乱れる空間で新しくも懐かしい"アキハバラ"を演出します!!」とあるので世代的にはオタククロニクルの方が高いイベントであると思う。僕がSSEXに行った時のレポートもあるのでそれを見てもらえばこのイベントの雰囲気は大体分かるかも。
 
2つ目はアニメソング、エロゲーソング、ゲームミュージックを製作するアーティストが直接行うクラブイベントである。3つ目がアニメソング、エロゲーソング、ゲームミュージックをネタとする音楽を扱うイベントである。アニメソングをネタとする音楽を作っていた人が本物のアニメソングを作ったり、アーティストがお互いのイベントに出たりとこの2つイベントの関係性は強い。また、高速BPMでネタ物が作りやすいという特性や高速キックとシンセの多幸感またナードコアの影響からハードコアテクノをバックボーンにもつアーティストが多い。

2つ目の代表的なものとして元ナムコサウンドチームの一員であった細江慎治が中心として開催される「ゲーム&アニメカルチャーを大胆にミックスしたクラブイベント」「LINEAR」がある。しかし、2つ目の代表といいながらもテクネチウムやSpelunker(SLK-9888.sys)+366 、RaverRoseなどアニメソング、エロゲーソング、ゲームミュージックなどをネタにする音楽を行うライブアクトも多い。
 
3つ目のイベントとしては、ナードコア<90年代後半にはじまったロッテルダムテクノやガバ、そのほかハードコアテクノの大胆な(というよりアホな)サンプリングスタイルをオタク的方面からアプローチした楽曲、及びムーブメントの総称 はてなキーワードより>の後をひくイベントが多い。
現在は行われていないが2002年頃に DJ SHARPNELを中心としてスピードフリーク、サイケアウツ細江慎治をゲストに行われた「OTAKUSPEEDVIBE」がある。フライヤーには「日本独自のカルチャーである「オタク」とヨーロッパのアンダーグラウンドカルチャーであるレイブが東京・恵比寿を舞台に融合を開始する!!!」と書かれている。
オタク系クラブイベントとしては呼べないかもしれないがカラテクノ天誅レオパルドンDJ SHARPNEL等「ナードコアと呼ばれるメンツ」が出演した「SPEEDKING」というイベントも2006年に行われた。
また、仙台では当時ナードコアとして呼ばれた 八卦商会XROGER(現在レーベルは廃止)のメンツが中心となって行っているはんだやレイブというイベントもある。
ここからはアーティストの話になるがナードコアと呼ばれたカラテクノレオパルドンはオタク音楽という点で見ると既に現在の活動はその領域ではない。(元々そうではなかったかもしれない)
そして、SHARPNELSHARPNEL.NET 、DJ SHARPNEL、高速音楽隊シャープネル)は同人即売会イベントで新譜を発売し、ここ数年のアニメソング、エロゲーソング、ゲームミュージックをネタとする音楽の中心的なグループであり、また日本のハードコアテクノの中心的グループでもある。まさに、オタク音楽の申し子であると言える。外国人が日本のアニメネタを使って同じような楽曲を作るほどにSHARPNELの影響はネタ系オタク音楽を作る人にとって大きい。

ナードコアとは少し離れているネタ系イベントとして同人サークル「上海アリス幻樂団」によって制作された弾幕シューティングゲーム俗に東方シリーズと呼ばれる音楽をネタとして使った音楽をかける「東方カーニバル」というイベントがある。
 
そして4つ目に、ここ1年の新しい流れとして上に書いた流れに含まれない「カオス系オタクイベント」が西日本で行われている。ある種、東京主導であったオタク系クラブイベントへの反発であり批判を含むかもしれない。個人的にこの流れにいま注目しているのだ。
ONOMATOPEEEらが中心として行われている熊本のONOMATOPIA。広島で*4C*らが中心として行われている吉田ナイト。尼崎でまじかるトワラーこと悪魔ダイコンらが中心として行われているアマガサキ@DEEEPA。大阪SAOMAIで行われているつン☆デれ。大阪日本橋で行われているCAOFF WESTなどなど。関西のイベント情報は【関西】クラブでアニソン!!にある アニソン・クラブイベント情報!!トピックでいろいろと見ることができる。
この流れの中心イベントとも言える、柏木るざりんをゲストとして呼んだアマガサキ@DEEEPAである。主宰の悪魔ダイコンや出演するNo.305ナードコア系というよりはノイズグラインドアーティストでありこれまでと全く違った形でクラブイベントにオタク音楽を持ち込んだということは特筆したい。
 
アニメソングや電波ソングゲームミュージックにはアニメ、エロゲ、ゲームの副産物であるが決して音楽としてのクオリティーはポップミュージックやクラブミュージックと引けをとらないものが有るので、それをクラブという場に持ち込んだ一つの形としてこれからも「オタク系クラブイベント」に注目していきたい。

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ナードコアをリアルタイムで経験していない僕に書けることはこれぐらいです。何か追加するべきことがありましたらコメント欄へどうぞ。

情報をいただいたので少し訂正しました 3/29