ポピュラーカルチャー研究報告書をゲトッた

増田さん(id:smasuda)が「その声は誰の声? ─〈声〉の現在とポピュラーカルチャー」の報告書を無料で配布するとブログに書いてあったので、無料で貰える物は貰っておこうと思い頂きました。
主に声に関する考察で、増田さんが基本的な声の機能の分析、小松さんが公共空間での声の現状、今井さんがアニメーションにおける声の機能というような内容でした。僕としてはかなり増田さんの話がおもしろかった。
声といっても様々な機能に分かれていて、伝える内容は勿論の事、声の質であるとかも機能の1つであるわけです。川田順造という文化人類学者の声の機能の区分が紹介されていてこれを読んで今まで抱えていたもやもやのような物が一気に晴れて個人的に凄く腑に落ちた。

川田によれば、声という音響がもつ記号機能は(鄯)分節的なもの(鄱)超分節的なもの、の2面を持ち(これはバルトの指摘と呼応しよう)、その声を身体が発するときには、(1)情報伝達性(2)行為遂行性(3)演戯性の3つ機能が働くことになる。声の分節的な側面(子音、母音)と超分節的な側面(口調、声質)はひとつの言述のなかに絡まり合って存在し、その各々が発話行為(いや、発音行為とするべきか)の情報伝達、行為遂行、演戯の各々を構成する。
声とは何か:ポピュラーカルチャーにおけるその諸機能 P5〜P6

例えばクラブミュージックにおいて考えると主に声の機能の意味を伝える分節的な側面よりも、その声質であるとかの超分節的なものが求められている場合が多い。そもそも英語で意味がわからなくても声があるからイケテルとか、ジャングルにはやっぱりラガの独特の声質が合うからサンプリングして被せておくかといった感じで。
一見して何からかのメッセージを伝える身体性とはかけ離れていると思い込んでいた声という機能が、実はかなり当たり前なんだけれども身体的でありその超分節的そしてそれに大きく依存する演戯性の部分で音楽とも大きく関わってきている。よく考えればわかりそうな部分だが改めて明確に提示されて衝撃的だった。