Armando

渋谷のディスクユニオンで「Radikal Fear」というシカゴハウス系のレーベルのコンピレーションCDを買った。シカゴハウスと言ってもリリースされたのが90年代初期ではなく96年で、ベルギーのレーベルらしい。音はシカゴハウス系の中でもハードな物が多くて、こういうのを「ワイルドピッチ・スタイル」と言ったりするみたいです。男気溢れる直感的なドラムの打ち込みと螺旋状に上がっていくシンセと所々に挿入されるヴォイスサンプリングが互い高め合っていて、どの曲も良いのですが、中でも「Armando - Radikal Bitch」がドラム、シンセ、ヴォイスサンプルが一寸の迷いもなく積み上げられて卑劣な程に上げてきてきます。90年代を駆け抜けたテクノ小冊子デジビによる同曲収録のEP解説も読むべし。

Armando - Radikal Bitch Mixes (Klassiker)


こちらはリミックス。原曲より落ち着いています。
 
この曲により空前の「Armando」ブームが僕の脳内に起こり偶然、渋谷のHMVで見つけた「Armando - Trax Classix」を購入。2005年にTrax Recordsが「Joey Beltram」「Farley "Jackmaster" Funk」「Phuture And Other Classics From DJ Pierre」というメンツでリリースした一連のCD再発シリーズの一つ。
収録曲は88年から94年の間の「Trax Records」の曲が中心です。何の迷いもなく自由に歯切れ良く突き進む909のドラムとTB-303のベースが特徴的でどの曲もズブズブと引き込まれていく感じです。特に気に入ったのが8曲目のホーンのサンプリングをこれでもかこれでもかと肉体的な909のドラムにぶつけて来る「Trance Dance」。そして、13曲目の88年にリリースされた「Armando」初期の曲である「100% Of Disin' U」。この曲が凄まじい。後のレイブを見据えた享楽的なシンセフレーズにヴォイスサンプリングを刻みまくるゲットー的アプローチを叩き付けた様相。20年後からならその後の展望も見えていて何とでも言えますが、当時こんなの生み出した発想というか勢いが凄い。ちなみに以前紹介した「Da Royal Funksta / Back 2 Skool! - DIG@BOOKOFF」で「DJ FUNK」が丸々サンプリングしているのがこの曲のヴォイスサンプリングでした。

Armando - 100 % Of Disin' You (Mike's Original Mixx)

Armando - Land of Confusion


  
残念ながら「Armando」こと「Armando Gallop」は96年に26歳で永眠した。
Armando Gallop: a tribute で英語だが当時の「Armando」の様子が関係者によって語られている。